何が描かれているか
キリストが岩山の上でひざまずき、受難に使われる道具を掲げる天使たちへ祈る。手前ではペトロ、ヤコブ、ヨハネが眠り、背後の道をユダに導かれた兵士が進む。
囲われた都市、切り立つ岩、細い道、枯れ木、ウサギや鳥までが乾いた風景へ置かれる。前景の静かな眠りと、遠景から近づく集団が、同じ画面に異なる時間をつくる。
作品の見どころ
岩の稜線と曲がる道が、兵士からキリストへ視線を運ぶ。人物の数は多いが、祈り、眠り、接近という三つの動作が離れているため、出来事の順序を地図のようにたどれる。
岩は自然物でありながら、切り出した建築や彫刻のように固い。弟子の衣の丸い塊、都市の直線、細い樹木を描き分け、静かな朝の光の中へ不安を積み重ねている。
制作背景
ナショナル・ギャラリーは1455〜1456年頃、板に卵テンペラの作品として所蔵する。主題は逮捕前のゲツセマネでの祈りで、天使が示す十字架や柱は、これからの受難を先取りする。
同じ主題を義弟ジョヴァンニ・ベッリーニも描いた。マンテーニャ版は岩と古代風の都市を強く組み立て、人物を自然の中に置くより、物語全体を舞台として設計している。