何が描かれているか
幼子キリストが楕円形の囲いの縁へ立ち、宝石の付いた水晶球とオリーブの枝を持つ。薄い衣は身体に沿い、小さな子どもでありながら統治者のように正面へ立つ。
左の洗礼者聖ヨハネはキリストを指差し、脚へ巻き付く巻物を持つ。聖母マリアは囲いの中から幼子を支え、背後で聖ヨセフが静かに顔を見せる。
作品の見どころ
家族が寄り添う場面に、水晶球、オリーブ、指差し、巻物という象徴を密に入れている。幼子の柔らかな身体と皇帝のような姿勢が同時に見える点がおもしろい。
人物の顔を重ねる一方、キリストだけを明るい空の前へ抜く。ヨハネの斜めの腕と聖母の手が中央へ集まり、画面の小ささを感じさせない強い三角形をつくる。
制作背景
ナショナル・ギャラリーは1500年頃、カンヴァスに膠テンペラの作品として所蔵する。かつては世界の支配者を意味する《インペラトル・ムンディ》という名でも呼ばれた。
聖ヨハネの巻物には、以前「神の小羊を見よ」という言葉があったが、過去の修復で除かれた。現在の画面には制作後の変化も含まれることを知って見る必要がある。