1488〜1490年頃
57〜59歳頃

採石場の聖母

画家 アンドレア・マンテーニャ →
Virgin and Child (Madonna of the Caves) / ウフィツィ美術館
岩の前の聖母子せいぼしと、遠くで石を切り出す人々を結ぶ。小さな礼拝画の背景に、柱や石棺を作る仕事が描き込まれる。

何が描かれているか

聖母マリアが岩の前に座り、幼子おさなごキリストを膝に抱く。右手は幼子を示し、子どもは顔を上げる。背景には道と町が続き、右の岩場では人々が石を切り出して柱や石棺を作っている。
聖母子のそばの大きな岩と、遠い場所の小さな労働者が対照になる。採石場を意味する題名は、この背景から来る。小さな労働者をたどると、聖母子の静かな姿の奥にも別の動きがある。

作品の見どころ

聖母の衣の折れ目と、背後の岩の角を見比べたい。柔らかな布にも硬い輪郭りんかくが入り、二人の身体が小さな画面の中で大きく見える。足元へ垂れる衣と、遠くの道が異なる距離を作る。
背景の仕事も、単なる飾りとして見過ごせない。ウフィツィは、柱を後の鞭打ちと受難、石棺を埋葬へ結び付けて読む。日々の石工の作業に、幼子の将来を重ねる解釈である。

制作背景

館は1488〜1490年頃、板にテンペラとして登録する。マンテーニャのローマ滞在との関係から、現地で描いた可能性を示すが、制作場所を確定した証拠としては扱わない。
小さく運びやすいことから、私的な祈りのための作品と考えられる。聖母が幼子を指し示す姿は、古い聖母像の形式とも結び付く。古代の彫刻と宗教的な図像が、身近な大きさの一枚に重なる。

作品情報

材質・技法
テンペラ、板
所蔵
ウフィツィ美術館(1890年目録1348)
制作・用途
ローマ滞在中の制作と私的な祈りのための小品という見方は、館が示す推定。

出典・画像について

出典:ウフィツィ美術館 作品記録(2026-10-01 確認)
画像:Andrea Mantegna《採石場の聖母》/Andrea Mantegna / The Yorck Project (2002), 忠実な平面複製
画像の出典 / PD(画像情報:2026-10-01 確認)
Commons個別ファイルのPD表示に基づく忠実な平面複製。複製画像の扱いには法域差があります。 ウフィツィの館配布画像には用途別の利用手続きがあり、今回の別ファイルの条件とは分けて確認しています。
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