何が描かれているか
聖母マリアが布に包まれた幼子キリストを抱き、白い髭のシメオンが布越しに手を伸ばす。二人の間で幼子は泣き、聖ヨセフと男女三人が後ろから見守る。
人物は大理石を思わせる四角い枠のすぐ内側に集まる。建物、祭壇、供え物は描かれず、聖母の肘と幼子を載せたクッションが、現実と絵の境目に置かれている。
作品の見どころ
物語全体を説明する代わりに、幼子を渡す直前の手と表情へ近づく。聖母は幼子を離したくないように抱き、シメオンは慎重に受け取ろうとし、その間が緊張の中心になる。
石の枠は窓のようで、人物がこちら側へ出てきそうに見える。半身像を切り取る構図、固い布のひだ、肌の細い陰影が合わさり、宗教画と彫刻の浮彫を重ねる。
制作背景
ベルリン絵画館は1454年頃のテンペラ画として所蔵する。技術調査では、右端の男性がマンテーニャ、左端の女性が妻ニコロシアとされ、制作途中で配置を変えた痕跡も見つかった。
ジョヴァンニ・ベッリーニは後に同じ構図を写し、人物を増やして別の作品へ作り替えた。両作の関係は、義兄弟だった二人が図像と技法を共有した具体的な証拠である。