何が描かれているか
若い聖セバスティアヌスが古代建築の柱へ縛られ、身体に何本もの矢を受けて立つ。下方には弓兵らの頭部が見え、聖人は苦痛の場から上へ顔を向けている。
足元には壊れた彫刻の頭、柱の破片、植物が散らばる。背後には崩れたアーチと階段があり、その先に道、岩山、城壁をもつ都市が細かく続いている。
作品の見どころ
聖人の生身の身体と、欠けていく石の身体を並べた点を見たい。足元の彫刻はすでに壊れているが、矢を受けた聖人は柱よりもまっすぐ立ち、信仰の持続を示す。
低い位置から見上げる身体、柱の縦線、遠くへ上がる道が、画面を上向きに引っ張る。細部の遺跡は考古学的な記録ではなく、古代世界の終わりを示す舞台として働く。
制作背景
ルーヴル美術館は15世紀第4四半期、つまり1475〜1500年の制作として登録する。テンペラでカンヴァスに描かれ、周囲には斑岩をまねた縁取りも残る。
作品が1481年のキアラ・ゴンザーガの婚姻に伴ってフランスへ渡った可能性はあるが、確定していない。年代を一点へ狭めず、来歴も美術館の疑問を保って見る必要がある。