海の神々の戦い(左側の版)
画家 アンドレア・マンテーニャ →The Battle of the Sea Gods (left portion of frieze) / メトロポリタン美術館
色を使わず、細い線の密度で水、筋肉、鱗を描き分ける。二枚で続く構図のうち、左側を刷った版画の全景。
何が描かれているか
海の神々が波の中で争い、魚のような尾を持つ怪物が口を開く。左上の老女は「嫉妬」を表し、その語を略した札を掲げる。奥の台座には、戦いへ背を向ける海神ネプトゥヌスが立つ。
横へ続く大きな構図を、左右二枚の版で刷る作品の左側である。この画像はメトロポリタン所蔵の一枚の全景で、紙の余白も残す。右側まで含む連作全体の図としては扱わない。
作品の見どころ
身体に沿う平行な細い線を見たい。線の太さと密度が変わると、筋肉に光と影が現れる。波、髪、鱗には別の線が重なり、色の違いを使わずに質感を描き分けている。
人物の腕は次の身体へ伸び、怪物の首は弧を描く。動きが混み合う中で、奥の海神だけは違う方向を向く。低く横長の構図は石の浮彫にも似るが、細部の明暗は印刷された線から生まれる。
制作背景
エングレーヴィングは、金属板へ線を刻み、その溝のインクを紙へ移す凹版画である。館の現行記録は1481年より前とする。紙の四辺の余白と、時間を経た色もそのまま残している。
館は、主題を画家自身かマントヴァ宮廷の学者が考えた可能性を示すが、確定はしていない。ローマの大理石浮彫との関係も指摘される。古代の題材を、紙に刷る表現へ変えた作品として見たい。
作品情報
掲載範囲
独立して刷られた左側の版と紙の全景。右側の版を合成していない。
出典・画像について
画像:Andrea Mantegna《海の神々の戦い(左側の版)》/The Metropolitan Museum of Art; Rogers Fund, 1918 (18.12)
メトロポリタン美術館の個別作品Open Access画像、CC0。現存画面または独立した版画一枚の全景を掲載。
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