何が描かれているか
縦長の画面に青、灰色、緑の帯が並び、中央には大きな黒い面が広がっています。題名を知ると窓の両側や開口部を連想できますが、その向こうの景色は描かれていません。下の方に少し残る線が窓辺の構造を知らせる一方、黒い部分は奥へ抜ける場所にも、平らに塗られた面にも見えます。少ない形が窓の見え方を曖昧にしています。
作品の見どころ
《開いた窓、コリウール》と比べると、同じ窓の題材がどれほど違う絵になったかが分かります。明るい港や花の代わりに、ここでは見えない領域が中心です。黒を夜や悲しみの意味に直結させず、縦の色面をまとめる強い形としても見てください。窓という現実の形を保ちながら、色の帯の組合せにも見えるため、具象と抽象の境界を考えられる作品です。
制作背景
1914年9〜10月のコリウール滞在で描かれ、マティスがパリに戻る際には未完成の状態で残されました。所蔵館は、中央の黒が初めに描いた開いたバルコニーを覆っていると説明しています。作品が広く公開されたのは制作から長い年月を経た後でした。窓を描きながら眺めを隠す黒い面が、見る人を引き付けます。