何が描かれているか
鮮やかな青の上に黒い人物が浮かび、周りに黄色い尖った形が散っています。胸には小さな赤い円があり、伸ばした腕や開いた脚が空間を横切っています。顔や服は説明されず、人体は単純な輪郭になっています。イカロスという題名から神話を連想できますが、黄色い形は星や閃光のようにも見え、色と動きが複数の読み方を生む画面です。
作品の見どころ
黒い姿をゆっくり目で追うと、飛ぶ、踊る、落ちるといった異なる動きを感じられます。青と黄色の強い対比に、小さな赤が加わることで、身体の中心へ視線が集まります。明るい色だから楽しい場面だけを表していると決め付けず、不安や危うさも感じられるかを考えてみてください。神話の一場面を詳しく描くより、少ない形で多くの連想を引き出す作品です。
制作背景
1947年にテリアードが刊行した『ジャズ』の第八図で、メトロポリタン美術館の本に含まれる刷りです。元の切り紙をそのまま貼った作品ではなく、型紙を使うポショワールで色を再現した版画です。同館は、第二次世界大戦中に始まった企画と、神話、サーカス、危険などの重なる意味を説明しています。