室内の布や模様を舞台に、立つ人物と色面の釣合いを探ったニース期の人物画です。
何が描かれているか
帽子を着けた女性が室内に立ち、上半身の肌と縞模様の長い衣服が目に入ります。背後には赤を中心とする装飾的な布や壁面があり、縦に伸びる身体と背景の区画が呼応しています。手は腰の近くに置かれ、人物の姿勢は落ち着いています。衣服や装飾を細かい小道具として見るだけでなく、人の形を引き立てる色と模様として眺められます。
作品の見どころ
身体の輪郭、衣服の縞、背景の縦線を順に追ってみましょう。似た向きの線が重なり、人物と室内が一緒に組み立てられているように感じられます。肌の柔らかい明暗に対し、背後の赤は平らで強い色として働きます。人物を描くことと、模様で画面を飾ることが別々ではない点が見どころです。題名だけで実在の後宮の生活を写したと考えるのは避けましょう。
制作背景
デンマーク国立美術館所蔵の1923年の油彩です。マティスはニース期にオダリスクという主題を繰り返し、モデルと布、屏風などを使って室内を構成しました。その伝統的な主題を、身体と色面の関係を探る機会にしています。後の《装飾的背景の装飾的人物》と比べると、模様の役割の変化も分かります。
出典・画像について
画像:アンリ・マティス《オダリスク》/SMK / デンマーク国立美術館
SMK個別画像のPublic Domain Mark表示に基づく。 国・地域によって扱いが異なります。
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この画家について本で読む
アンリ・マティス作品集 諸芸術のレッスン
米田 尚輝 著 / 東京美術
初期から晩年まで170点以上の図版を通して、色彩、室内、装飾、切り紙絵へ広がる仕事をたどれる作品集です。
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