ピアノを弾く少年のいる室内が、灰色の面、緑の三角形、曲線の対比で組み立てられています。
何が描かれているか
ピアノに向かう少年の頭と鍵盤が画面の下にあり、室内の大部分は灰色の大きな面になっています。左上には緑の三角形が入り、窓辺の柵と譜面台には曲線の模様が残されています。手前の彫刻や奥の人物を描いた絵も、少ない線や色で示されています。人が楽器を練習する場面を、物の形と室内の構造へ置き換えたような画面です。
作品の見どころ
少年の顔にある尖った影と、左上の緑の形を見比べてみましょう。小さな顔と大きな空間が、似た三角形によって呼応しているように見えます。硬い直線に対して、柵や譜面台の曲線が異なるリズムを作っています。描かれた場面が静かなのに張り詰めて感じられるのは、色の少なさや形の対比にも関係します。物語より構図から受ける感覚を楽しめる一枚です。
制作背景
現行のMoMA記録は、イシー=レ=ムリノーで1916年晩夏に制作されたとしています。マティスが第一次世界大戦期に、色や形を強く整理した室内画に取り組んだ時期の作品です。後の明るいニースの室内画と並べると、同じ室内でも表現の方向が大きく変わったことが分かります。
出典・画像について
画像:アンリ・マティス《ピアノのレッスン》/Henri Matisse / Wikimedia Commons(平面作品の複製)
Commons個別ファイルのPublic domain表示に基づく忠実な平面複製。 米国での原作品の公表条件は別途確認が必要です。 国・地域によって扱いが異なります。
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この画家について本で読む
アンリ・マティス作品集 諸芸術のレッスン
米田 尚輝 著 / 東京美術
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