何が描かれているか
赤い背景の前で、刺繍のある白いブラウスを着た女性が座っています。袖は大きく膨らみ、上半身の幅いっぱいに広がります。下には青いスカートがあり、髪や刺繍の黒い線が白い面を引き締めています。顔は小さく単純に描かれ、服の細かな質感より、白、赤、青の大きな組合せが先に目に入ります。人物と衣服が一つの明快な構図になっています。
作品の見どころ
袖の左右の曲線と、首元から下へ続く模様を追ってみましょう。刺繍は細部の再現だけでなく、広い白い面にリズムを与える線として働きます。背景の赤は人物を囲むと同時に、袖の形を強く浮かび上がらせます。色の数が少なくても、線の方向と面積で豊かな変化が作られています。
制作背景
1940年4月に完成したニースでの作品です。所蔵館は、マティスが制作途中の状態を写真に記録し、細部を消しながら刺繍と袖の形を整理したと説明しています。初めにあった花模様の背景などが、完成作では単純な赤い面へ変わっています。自然な見え方をすぐに捨てたのではなく、何度も見直して必要な形を選んだことが分かる、成熟期の重要な人物画です。