小さな礼拝堂の形をした金色の箱で、側面の六つの場面に聖ウルスラの巡礼と殉教の物語が続く。
何が描かれているか
小さな礼拝堂の形をした金色の箱で、側面の六つの場面に聖ウルスラの巡礼と殉教の物語が続く。絵だけでなく、尖った屋根、柱、彫刻が一つの作品を作る。掲載写真は一方の側面と端の姿が見えるため、まず全体の形をつかみ、次にアーチの下の小さな船や人物を追うと読みやすい。物語の場面を収めた箱そのものが、聖人の遺物を保管するために作られた。
作品の見どころ
屋根の円形の絵と透かし彫りの金色の模様が、下の場面を囲む。各場面の人物は小さいが、船、城壁、群衆の動きで出来事を区別できる。正面から一枚だけを見る板絵と違い、実物は周りを回って別の面も見る立体作品である。黒い周囲は撮影時の背景で、箱の一部ではない。画像だけでは見えない反対側にも物語が続くことを覚えておきたい。
制作背景
ブルッヘの聖ヨハネ施療院のために1482年から1489年に作られた。市立美術館によれば、聖ウルスラを含む複数の聖人の遺物が納められ、祭日などに取り出された。絵画、彫刻、建築を合わせた珍しい聖遺物箱で、単なる物語絵としてではなく礼拝に用いる物として理解したい。小さな建物の形は中身を守り、周囲を巡りながら聖人の歩みを追える。
出典・画像について
画像:Hans Memling《聖ウルスラの聖遺物箱》/Hugo Maertens
画像: Hugo Maertens。CC0 / Art in Flanders / Wikimedia Commons。背景除去・その他の改変なし。
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