十字架にかけられたペテロが、こちらへ顔を向けている。磔刑とは、十字架にかける刑のこと。この絵では身体が逆さになっているが、その顔は見る側に向く。身体の向きと視線の向きを分けて追うと、場面への近づき方が変わる。ただ苦しむ人を遠くから眺めるのではなく、視線を返される場面として見てみたい。まずは顔の向きから目を離さずに眺めたい。
何が描かれているか
ペテロは逆さの十字架にかけられ、十字架が起こされる途中にある。身体は逆さでも顔をこちらへ向け、見る側へ視線を返すように見える。
パオリーナ礼拝堂の向かいには《聖パウロの回心》がある。光を受けるサウロと画面外を見るペテロでは、顔の方向が場面の違いを際立たせる。
作品の見どころ
メトロポリタン美術館には、この壁画のための原寸大下絵が残る。大きな壁へ人物を配置する前に、実際の大きさで形を検討したことが分かる。
二つの壁画は、祈る教皇や側近を間に挟んで向き合う。表情を一語で決めるより、ペテロの視線が礼拝堂に立つ人とどう関わるかを考えたい。顔つきを怒りや疑いの一語に固定せず、身体と反対へ向く視線そのものを観察することが大切である。
制作背景
《聖パウロの回心》に続いて1545年に着手し、1546年には体調悪化による中断もあった。ミケランジェロの仕事は1550年に終わった。
礼拝堂全体の装飾はそれで完成したわけではなく、後にサバティーニやズッカリらも加わった。周囲のすべてがミケランジェロ作ではない。
制作開始年は幅を持たせています
バチカンの礼拝堂史は、1545年7月に《聖パウロの回心》を終えた直後に着手し、1550年3月に制作を終えたと説明しています。
作品情報
制作
1545年7月直後–1550年3月(バチカンの礼拝堂史)
画像
Web Gallery of Art由来の全景複製
出典・画像について
表示画像はWikimedia CommonsのPD-Art複製です。米国外では忠実複製の扱いに法域差があり得ます。
画像:ミケランジェロ《聖ペテロの磔刑》/Michelangelo, The Crucifixion of Saint Peter, Pauline Chapel. Reproduction: Web Gallery of Art, via Wikimedia Commons. PD-Art / Public Domain Mark 1.0; jurisdiction note applies.
Wikimedia CommonsのPD-Art複製です。米国外では忠実複製の扱いに法域差があり得ます。
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