墓に横たわった姿ではなく、そこへ運ばれる途中を描いている。題名から静かな埋葬の場面を思い浮かべると、少し意外かもしれない。キリストの遺体を誰かが支え、その周りにも人々が集まる。ただし、彼ら全員の名前が確かに分かるわけではない。まず誰が誰なのかを覚えるより、身体を支え合う動きから眺めたい。人物の名前より、運ぶ行為が入口になる。
何が描かれているか
キリストの身体が布で支えられ、後方の岩の墓へ運ばれている。身体を縦向きに持ち上げた構図のため、見る側へ正面から示されるように見える。
後ろの男性はアリマタヤのヨセフともニコデモとも考えられ、同定は確定していない。右下の空白には、ひざまずく聖母を描く予定だったと所蔵館は説明する。
作品の見どころ
油彩の画面は人物ごとに仕上がりが異なる。描き込まれた身体のそばに手つかずの部分があり、未完成だからこそ作業の順序が見える。よく描き込まれた身体のすぐそばに手つかずの場所が残り、画家が人物ごとに進めたことも読み取れる。
同じく未完成の《マンチェスターの聖母》がテンペラなのに対し、こちらは油彩である。残された部分から、異なる絵具での制作過程を比べられる。
制作背景
1500–1501年頃のローマでの仕事とされる。サンタゴスティーノ教会の礼拝堂用の祭壇画だった可能性が高いが、注文記録に主題は書かれていない。
左からの光が礼拝堂の自然光の方向に合い、寸法も設置場所に収まることが根拠とされる。記録と作品の対応は有力だが、確定ではない。
出典・画像について
画像:ミケランジェロ《キリストの埋葬》/Michelangelo, The Entombment, National Gallery, London (NG790). Reproduction: The Yorck Project (2002), via Wikimedia Commons. Public Domain.
Yorck Project由来の複製を、作品全体を残して縮小しています。
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