いま見える布のすべてが、ミケランジェロの描いたものではない。裸体の一部を隠すため、別の画家たちが後から描き足した布もある。完成した絵がそのまま残っている、と考えると見落としてしまう変化だ。この作品には作者の仕事に加えて、後の時代の人々が、その身体の表現をどう受け止めたかも残っている。いまの姿には、作品が受け継がれた時間も含まれる。
何が描かれているか
礼拝堂の祭壇壁に、審判を下すキリストを中心とした群像が広がる。下部の天使がラッパを吹き、左では人々が天へ上り、右では地獄へ落とされる。
人物を見分ける目印もある。ペテロが持つ二本の鍵をはじめ、持ち物をたどると、巨大な群衆の中の人物を少しずつ確認できる。中央のキリスト、ラッパの天使、鍵を持つペテロと目印を増やすと、画面全体を無理なくたどれる。
作品の見どころ
下部には舟を操るカロンや蛇に巻かれたミノスがいる。所蔵館は、この地獄の表現をダンテの『神曲』との関わりで説明している。
裸体を隠す布の一部は、身体表現が問題視された後にダニエーレ・ダ・ヴォルテッラらが加えた。現在の姿は、ミケランジェロの筆だけでできたものではない。
制作背景
制作は1536–1541年で、天井画より後の仕事である。天井の区切られた物語に対し、祭壇壁ではキリストを中心に人物が上下へ大きく動く。同じ礼拝堂でも、制作時期と画面の仕組みは大きく異なる。
覆いはヴォルテッラの仕事の後にも別の時代に加えられた。一度完成した後も、どの姿で残すかが変わってきた壁画である。
作品情報
画像
Yorck Projectによる修復前の全景複製
出典・画像について
表示画像は修復前の古い全景複製です。1994年の修復完了後や現在の色調とは異なります。
画像:ミケランジェロ《最後の審判》/Michelangelo, The Last Judgment (unrestored view). Reproduction: The Yorck Project (2002), via Wikimedia Commons. Public Domain.
Yorck Project由来の修復前全景です。1994年の修復完了後や現在の色調とは異なります。
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