黒と白の衣服、扉へ伸びる手が、別れの前の一瞬を形にする。
何が描かれているか
黒い軍服の男性と、白いドレスに赤いリボンをつけた女性が、扉の前で寄り添っている。男性は片手を扉へ伸ばし、女性は胸元へ手を置いている。足元には小さな犬、背後の壁には騎馬像の絵が掛かる。二人の距離は近いが、扉へ向かう腕と相手へ向く顔の間に、立ち去ろうとする動きと引き止める動きが同時に見える。
作品の見どころ
軍服の黒とドレスの白が隣り合うところから見たい。暗い服は形をまとめ、白い服の折り目は細かな光を受けて揺れる。その間の赤いリボンが、女性の胴と男性の手へ目を集める。扉の硬い縦線に対し、二人の腕は斜めに重なっている。大きな身ぶりを描かず、触れる手と布の明暗だけで、別れの前の張りつめた間を感じさせる。
制作背景
1860年の油彩で、レディ・リーヴァー・アート・ギャラリーに収蔵される。所蔵情報を掲載するVictorian Webは、1922年にリーヴァーヒュームの私蔵から移管されたと記す。テートにも同名の鉛筆習作があるが、ここで見るのは油彩の完成作。文学や歴史の知識がなくても、衣服の色と二人の手の動きを手がかりに場面を読み取れる。
出典・画像について
画像:John Everett Millais《黒衣のブランズウィック兵》/John Everett Millais《黒衣のブランズウィック兵》/Wikimedia Commons(個別ファイルの忠実複製)
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