何が描かれているか
少年キリストが木工所で手を傷つけ、母マリアがそばへ寄る。ヨセフ、幼い洗礼者ヨハネ、家族と職人も集まる。
釘、木材、羊、血の跡などが、後の受難を予告するものとして配置される。
床の木くず、使い込まれた作業台、人物の骨張った手足まで美化せず描かれる。聖家族を金色の天上世界ではなく、匂いや手触りまで想像できる労働の場へ置いたことが、画面の象徴をいっそう現実的にする。
作品の見どころ
聖家族を古代の理想的な人物ではなく、汚れた手で働く普通の家族のように見せる。
床の木くずや道具まで鋭く描くため、宗教画の象徴と現実の工房が重なる。
まず家族が少年を心配する普通のけがとして見てから、釘、水、羊へ戻ると、現在と未来が重なって見える。象徴を工房で本当に使う物として置いたため、宗教的な予告が日常の現実から浮いていない。
制作背景
1849〜1850年制作。発表時には、聖なる人物を労働者のように描いたことが大きな論争を呼んだ。
自然と身近な現実を観察することで、宗教主題を新しくしようとした作品である。
1850年の公開時には、聖なる人物を貧しい労働者のように見せたとして強い反発が起き、作家チャールズ・ディケンズも雑誌で批判した。ミレイは実際の木工所で制作し、身近な労働の現実と受難を予告する象徴を同じ画面に置いた。
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荒川裕子 / 東京美術
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