1889〜1890年
61歳頃

露に濡れたハリエニシダ

画家 ジョン・エヴァレット・ミレイ →
Dew-Drenched Furze / テート・ブリテン
朝の光と露を、林の細かな植物と遠くのかすみから味わう晩年の風景。

何が描かれているか

縦長の画面いっぱいに、木の幹、枝、細い草や低木が重なっている。奥から朝の光が入り、中央のかすんだ空間が明るく開く。手前には細かな白いきらめきが広がるが、人は大きく描かれない。テートの説明では、スコットランドのバーナム・ヒル近くの林で、朝日に照らされる露を描いた作品。題名のハリエニシダは、とげのある低木の名である。

作品の見どころ

手前の細かな線を見てから、中央奥の光へ目を移したい。近くでは植物の枝や露の粒が密に重なり、遠くでは形が光と空気の中へほどけていく。明るさの違いが、立ち入れる道のように奥行きを作る。花や人物をはっきりした主役にする代わりに、同じ林の中で近くを見る目と遠くを見る目を行き来させるところに、この晩年の風景画の特徴がある。

制作背景

1889〜1890年の油彩ゆさいで、題名は英国の詩人テニスンの『イン・メモリアム』に由来する。テートは、若者を悼むその詩と、息子を失ったミレイの追悼を重ねて説明している。ただし、林の一つ一つの形を特定の悲しみの記号だと断定する必要はない。朝の光と細かな露をそのまま眺めることからも、静かな時間を読むことができる。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩
所蔵
テート・ブリテン
目録番号
T12865
寸法
173.2 × 123 cm

出典・画像について

画像:John Everett Millais《露に濡れたハリエニシダ》/John Everett Millais《露に濡れたハリエニシダ》/Wikimedia Commons(Tate/Google Art Project由来)
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-10-01 確認)
忠実な二次元複製の権利の扱いは国・地域で異なります。Commonsの個別表示では、テートが英国でこの複製画像の権利を主張している旨も記されています。原作品の保護期間と、美術館・配布元の写真の利用条件を区別しています。
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