顔と手を明るく残し、英国の政治家の姿を少ない色で描き出す。
何が描かれているか
黒い上着の男性が、両手を前で重ね、体を少し横へ向けて立っている。背景も暗いが、顔、白い襟、シャツ、手は明るく浮かぶ。描かれたのは、英国で四度首相を務めたウィリアム・グラッドストン。豪華な家具や政治の道具を並べず、人物の姿だけを大きく示す。目は正面の鑑賞者を外れ、右側の何かへ向けられている。
作品の見どころ
顔の額、鼻、頬をつなぐ明るさから、白い襟と重ねた手へ視線を下げたい。黒い服の中にも少しずつ筆の向きと色の違いがあり、体の厚みを支える。手が静かに組まれるのに対し、顔の輪郭ははっきりしている。人物の考えを決めつけず、目の向き、閉じた口、立つ姿の組み合わせを見ることで、落ち着きと緊張を同時に感じ取れる。
制作背景
ナショナル・ポートレート・ギャラリーの目録は1879年の油彩とし、1957年にテートから移管されたと記す。同館は、ミレイが描いた四点のグラッドストン像の最初の作品と説明している。別の肖像や複製版画とは区別した。政治家の肩書きを読むだけでなく、必要な色と形へ絞った画面から、成熟期のミレイの肖像の描き方を見られる。
出典・画像について
画像:John Everett Millais《ウィリアム・グラッドストンの肖像》/John Everett Millais《ウィリアム・グラッドストンの肖像》/Wikimedia Commons(National Portrait Gallery由来)
忠実な二次元複製の権利の扱いは国・地域で異なります。Commonsの個別表示では、この複製画像への第三者の権利主張も記されています。原作品の保護期間と、美術館・配布元の写真の利用条件を区別しています。
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