何が描かれているか
長い食卓の左側にイザベラ、向かいに恋人ロレンツォが座る。右端の兄は犬を蹴り、物語の不穏さを先に見せる。
果実、花、食器、衣服の模様まで、人物と同じ強さで描かれている。
恋人同士の視線を見つけたあと、兄たちの手足を追うと、同じ食卓で愛情と敵意が同時に進んでいることが分かる。果実や羽、傾いた椅子は豪華な飾りではなく、これから起きる暴力を小さなしぐさで予告している。
作品の見どころ
人物を奥へ小さくせず横一列に並べるため、画面は初期イタリア絵画のように平らに見える。
椅子に記されたPRBの文字は、結成直後のラファエル前派作品であることを示す。
遠くからは賑やかな食事、近くでは互いに噛み合わない身ぶりが見える。恋人の静かな視線から兄の蹴る脚へ移るだけで、祝宴が悲劇の入口に変わる。この視線の落差が、物語を知らない人にも緊張を伝える。
制作背景
キーツの詩「イザベラ、またはバジルの鉢」に基づく。恋人は彼女の兄たちに殺されるが、ここでは悲劇の前の食事を描く。
1848〜1849年制作。小さなしぐさと象徴から結末を予感させる初期作である。
本作は1848年に結成されたラファエル前派の最初期の成果である。椅子の「PRB」は兄弟団の英語名の頭文字で、明るい色、硬い輪郭、平らな空間には、盛期ルネサンス以前の初期イタリア絵画へ学ぼうとした姿勢が表れている。
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