何が描かれているか
夕暮れの畑で男女が仕事を止め、うつむいて祈る。足元にはじゃがいもの籠と道具、一輪車がある。
遠くの教会の鐘に合わせて唱える晩鐘の祈りを表す。男性は帽子を胸元に持ち、女性は両手を組む。二人の間には籠が置かれ、背後の一輪車と地面に立つ道具まで含めて、祈りが仕事の途中に挟まれたことが分かる。
作品の見どころ
二人の間を空け、低い地平線と大きな空で静けさを強める。
人物を逆光の暗い輪郭にして、表情より姿勢と手の動きへ目を向けさせる。沈む太陽は地平線付近だけを明るくし、二人の顔や服は細部を失った暗い形になる。広い空、低い畑、離れて立つ二人という単純な配置が、鐘を直接描かず静かな間を作る。
制作背景
1857〜1859年に制作。当初の依頼者が受け取らず、その後題名を変えながら知られるようになった。
現在はオルセー美術館所蔵。宗教的な感情だけでなく、籠や道具が示す日々の労働も画面の基礎にある。後世には宗教性や死をめぐる多様な解釈が加えられたが、画面だけで隠された物語を確定することはできない。現在見える農具、じゃがいも、遠い教会から日々の祈りとして読む。