1860〜1862年
46〜48歳頃

鍬に寄りかかる男

画家 ジャン=フランソワ・ミレー
Man with a Hoe / J・ポール・ゲティ美術館
疲れて鍬に寄りかかる農夫を理想化せずに描く。1863年のサロンでは、その荒々しい身体表現が議論を呼んだ。

何が描かれているか

荒れた畑で一人の農夫が鍬に寄りかかり、口を開けて息をつく。
背後には燃やした雑草の煙と、さらに働く人影が見える。男は両手を鍬の柄へ重ね、上半身の重みを預ける。開いた口、沈んだ肩、汚れた服は休息の短さを感じさせ、背後の煙と小さな働き手は作業がまだ続くことを示す。

作品の見どころ

疲れた身体を画面の中央へ大きく置き、整った英雄の姿にはしない。
粗い土、傷んだ服、重い鍬を近い褐色かっしょくで結び、人物と土地を一体に見せる。低い地平線によって頭と鍬が空へ突き出し、人物は実物以上に大きな存在として迫る。一方、顔立ちや衣服は理想化されず、凸凹した土と同じ粗い表面で描かれている。

制作背景

1860〜1862年作。1863年のサロンで公開され、農夫の荒々しい姿が論争を呼んだ。
現在はJ・ポール・ゲティ美術館所蔵。貧困を美化するより、労働の身体的な負担を正面から見せる。1863年のサロンでは、この身体の荒々しさや主題の扱いが議論になった。現在の価値観だけで英雄像とも悲惨さの見世物とも決めず、当時の農民表現の規範から外れた点を押さえる。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
J・ポール・ゲティ美術館
目録番号
85.PA.114

出典・画像について

出典:J・ポール・ゲティ美術館 作品紹介2026-09-12 確認)
画像:Jean-François Millet鍬に寄りかかる男》/鍬に寄りかかる男 — Jean-François Millet / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-12 確認)
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