1850年
36歳頃

種まく人

画家 ジャン=フランソワ・ミレー
The Sower / ボストン美術館
種をまく一歩を画面いっぱいに広げた代表作。逆光で顔を隠し、特定の個人より労働の力と反復を前へ出す。

何が描かれているか

農夫が斜面を大股で進み、右手で種をまく。背後には牛を使って畑をならす人が小さく見える。
人物の顔は帽子と逆光で暗く、個人の肖像より動作が中心になる。腰の袋から取り出した種が、振り出す右手の先へ細かな点となって散る。左脚は斜面を踏み、右脚は大きく後ろへ伸びるため、人物がこちらへ近づく一瞬として見える。

作品の見どころ

伸ばした脚、振る腕、斜めの地面が同じ方向へ進み、一歩の勢いを強める。
夕暮れの空と土を近い色でまとめ、種をまく手だけを明るく浮かせる。身体は画面の縦幅いっぱいに近く、遠景の牛と働く人との差が大きい。帽子に隠れた顔より、三角形に広がる脚と腕の輪郭りんかくが先に目へ入り、農作業の反復を力強い身振りへ変える。

制作背景

1850年作。同年のサロンで公開され、ミレーの農民画を広く知らしめた。
現在はボストン美術館所蔵。聖書の種まきの比喩も連想できるが、画面は同時代の農作業として描かれる。聖書の『種まく人』を思わせるという解釈はあるが、光輪や宗教的な場面は描かれていない。象徴だけへ急がず、斜面を歩きながら種を均等にまく同時代の仕事としても確かめたい。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
ボストン美術館
目録番号
17.1485

出典・画像について

出典:ボストン美術館 作品記録・解説2026-09-12 確認)
画像:Jean-François Millet種まく人》/種まく人 — Jean-François Millet / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-12 確認)
Public Domain表示の忠実な複製画像です。扱いは国・地域によって異なります。
間違いを見つけたら、教えてください →