1859〜1866年頃
44〜52歳頃

初めの一歩

画家 ジャン=フランソワ・ミレー →
First Steps / クリーヴランド美術館
父の腕と、子どもの小さな手。その間の短い距離に目を向けると、庭の一場面が動き始める。

何が描かれているか

左では男性が片ひざをつき、両腕を伸ばしている。右では女性が小さな子どもを支え、子どもも男性に向けて手を伸ばす。柵や木々に囲まれた家の裏の庭で、両親が子どもの初めの歩みを促す場面だ。
三人の間には、まだ渡っていない地面の空間がある。手を差し伸べる父と、体を支える母、その間に立つ子どもを順に見ると、これから起こる一歩を感じ取りやすい。

作品の見どころ

黒い線や影の上に、薄い緑や青、赤などの色が重なっている。柵の縦の線、木の幹、地面の跡が庭を形作り、その中で人の姿がまとまる。色が一面を覆わず、紙の地の色も残っている。
パステルは、粉状の顔料がんりょうを棒に固めた画材だ。塗った色が紙の上に柔らかく広がり、黒チョークの線とは違う表情を作る。輪郭りんかくを描く線と、所々に置かれた色の関係を見比べたい。

制作背景

所蔵館は1859〜1866年頃の黒チョークとパステルによる作品と記録する。ミレーは1860年代に、農民の生活を描く黒チョーク素描そびょうへ色を加えるようになった。
この作品では、畑で働く人だけでなく、家族の小さな出来事へ目が向く。ここで見るのはクリーヴランド美術館所蔵の紙の一枚だ。油彩ゆさいと混同せず、線と色の重なりを楽しみたい。

作品情報

材質・技法
黒チョークとパステル・ベージュの簀の目紙
所蔵
クリーヴランド美術館
目録番号
1962.407
位置づけ
家族の生活を描く、色を加えた紙の作品

出典・画像について

画像:Jean-François Millet《初めの一歩》/初めの一歩 — Jean-François Millet / The Cleveland Museum of Art
画像の出典 / CC0 1.0(画像情報:2026-10-08 確認)
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