カーニュの糸杉と家々
画家 アメデオ・モディリアーニ →Cypresses and Houses at Cagnes (Cyprès et maisons à Cagnes) / バーンズ財団
肖像画の合間に描いた南フランスの風景。糸杉の縦線と家の斜めの壁が、画面の奥行きを組み立てます。
何が描かれているか
黄土色の家の前に、二本の糸杉が立っている。幹は細く長く、上の方に濃い緑の葉が集まる。左の家には赤みのある屋根と窓が見える。右へ伸びる壁の向こうには、青灰色の空が広がっている。
手前の地面と低い塀は斜めに区切られ、右下には緑の茂みがある。人物の姿は描かれていない。建物の壁、木の幹、地面の形を追うと、この場所の空間が少ない要素で組み立てられていることが分かる。
作品の見どころ
糸杉の幹はほぼ縦に伸びるが、家の壁や手前の塀は斜めの線を作る。縦線と斜線を見比べると、木の高さだけでなく、建物と手前の距離にも目が向く。壁の明るい色は、暗い葉の輪郭をくっきりと見せている。
窓や屋根を描き込むより、家全体を大きな色の面にまとめている。顔や首を簡潔な形で表した肖像と並べると、風景でも形と輪郭を選び取る描き方が見える。
制作背景
本作は1919年の油彩で、南フランスのカーニュの景色を描いている。バーンズ財団の赤外線調査では、主な構図を決める詳しい下描きが確認された。
モディリアーニは1918年春、画商レオポルド・ズボロフスキーの勧めで南フランスへ移った。木と壁の線の関係を見ると、描き始める前に画面の組み立てを考えた跡も想像できる。
出典・画像について
画像:Amedeo Modigliani《カーニュの糸杉と家々》/Cypresses and Houses at Cagnes (Cyprès et maisons à Cagnes), 1919年 — Amedeo Modigliani / Barnes Foundation / Wikimedia Commons
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