画家を早くから支えた医師の肖像。腰に置いた手の白さと、ほぼ画面いっぱいに広がる黒い服が目を引きます。
何が描かれているか
眼鏡をかけ、口ひげとあごひげをたくわえた男性が立っている。モデルは医師のポール・アレクサンドルだ。黒い服の胸元には白い襟がのぞく。顔だけでなく膝のあたりまで入り、立ち姿の大きさを感じられる構図になっている。
人物の左手は腰に置かれ、画面の右側へ肘が張り出す。反対の手は下へ伸びている。緑を帯びた壁の前で、画面左端の赤いカーテンが細い帯を作る。頭の右上には、額に入った小さな絵も見える。
作品の見どころ
まず、腰に置いた明るい手を見てみよう。白い袖口は、広い黒の中で姿勢を読み取る目印になっている。顔と両手の明るさを結ぶと、暗い服にも身体の位置がはっきりと感じられる。
頬、ひげ、眼鏡は細かな線で区別されている。後年の肖像に見られる長い首や単純な顔の輪郭とは異なり、ここでは服の厚みや立つ身体の輪郭が大きな役割を持っている。
制作背景
モディリアーニは1907年11月にアレクサンドルと出会った。東京富士美術館の解説によると、医師は作品を買い、画家の活動を支えた。
本作は1909年に描かれたアレクサンドルの肖像の一つだ。同じ人物を描いた別作品もあるため、腰に手を置く姿勢と東京富士美術館の所蔵番号01212で区別できる。
出典・画像について
画像:Amedeo Modigliani《ポール・アレクサンドル博士》/Portrait of Dr. Paul Alexandre, 1909年 — Amedeo Modigliani / The Yorck Project / Wikimedia Commons
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