青灰色の港に橙色の太陽を置いた小画面である。この題名が、後に「印象派」という呼び名の広まりに結び付いた。名前の由来だけでなく、少ない色で港の空気を組み立てる方法を見たい。
何が描かれているか
手前に暗い小舟が浮かび、奥には船の帆柱、煙、港の設備が霧のような色の中に見える。
太陽と水面の反射だけが鮮やかな橙色で、周囲の青灰色と強く対比する。
作品の見どころ
建物や舟の輪郭を一つずつ固めなくても、色の温度差と筆触で距離が伝わる。
橙色の太陽から水面の反射へ目を下ろし、そこから暗い舟、遠い港へ視線を広げると、画面の空間がつかみやすい。最初に鮮やかな橙色の太陽と、その真下に伸びる反射を一本の軸として見る。次に手前の小舟から奥の帆柱や煙へ視線を移すと、港の空間が少ない色で段階的に遠ざかる。輪郭が曖昧な部分を欠落と考えず、青灰色の空気の中から物の形がどこまで見えてくるかを確かめるとよい。
制作背景
ル・アーヴル港を描き、1874年の独立展へ出品された。批評家ルイ・ルロワが題名を踏まえて「印象」という語を用い、画家たちの呼称へつながった。所蔵館は1872年制作とする一方、ナショナル・ギャラリー・オブ・アートの略歴は1873年と記すため、年差を隠さない。
カンヴァスに油彩、48×63センチ、マルモッタン・モネ美術館所蔵。