広い風景の中に多くの女性と空想上の動物が散りばめられている。
何が描かれているか
広い風景の中に多くの女性と空想上の動物が散りばめられている。ひとつの神話の出来事を追う絵ではなく、異なる場面が同時に見える。題名のキマイラは怪物の名であるとともに、ありえない夢や幻を指す言葉でもある。どこが中心かを探すより、画面の各所で女性と動物がどのように出会うかを歩くように眺めたい。
作品の見どころ
大きな画面には、翼、角、長い首、衣服、植物などが細かく重なる。遠景まで目を動かすと、人物の大きさや姿勢が変わり、ひとつの空間に複数の小さな物語があるように感じられる。完成した部分と描きかけの部分が共存し、絵具の密度も一様ではない。その差を欠点として消すのではなく、モローが構想を広げた手つきとして見られる。
制作背景
モロー美術館は1884年の油彩画とし、未完成だったことを記録する。同館の解説は個々の人物の同定にも慎重で、特定の神話上の女性と決められない姿がある。画面の複雑さに対して、すべてを一つの寓意へ読み解く必要はない。大作を完成させる前の考えが見える資料でもあり、神話、装飾、空想がどのように重なるかを知る作品でもある。
出典・画像について
画像:Gustave Moreau《キマイラたち(未完)》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
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