何が描かれているか
年老いたダヴィデ王が高い玉座に座り、足元には天使のような小さな姿がいる。王は竪琴や冠を持つ人物として知られるが、この絵では大きな身振りで人々を導くのではなく、ひとりで思いを巡らせるように見える。玉座の背後には建築と装飾が積み重なり、聖書に由来する人物が夢のような空間に置かれている。
作品の見どころ
縦長の画面に沿って王の頭から足元の天使へ目を移すと、人物の大きさの差が際立つ。金や赤を含む衣装は暗い建築から浮かぶが、細部の装飾は王の周囲を埋めている。顔の表情だけを拡大して読むより、玉座、楽器、足元の姿との関係を見たい。王としての威厳と静かな孤独が、同じ構図の中に感じられる。
制作背景
ハマー美術館は1878年の油彩画と記録し、この年のパリ万国博覧会に出品されたことを伝える。モローは聖書の人物を単純な歴史再現として描くより、象徴的な衣装と建築を重ねて表した。足元の姿の意味を一つに断定する必要はない。どの細部が王を支え、どの細部が王を周囲から隔てるかを眺めると、独特な場面の作り方が見えてくる。
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ギュスターヴ・モロー 画・文/藤田尊潮 訳編 / 八坂書房
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