何が描かれているか
洞窟の中で海のニンフ、ガラテイアが横たわる。奥には一つ目の巨人ポリュフェモスが身を潜めるようにして彼女を見つめる。二人が触れ合うことはなく、巨人の大きさと女性の細い姿の隔たりが目立つ。神話に由来する恋の物語を描きながら、モローは二人の会話や動作ではなく、見つめる者と見つめられる者の距離を画面にした。
作品の見どころ
ガラテイアの周囲には海の植物や珊瑚のような形が密集し、洞窟が水中の庭のように見える。明るい肌を起点に細部をたどると、目は奥の暗い巨人へ移る。巨人は大きいのに、前景のガラテイアより控えめに置かれている。装飾を単なる背景として飛ばさず、二人の間を満たす形と色の層として見ると、画面の静かな緊張が分かる。
制作背景
オルセー美術館は1880年頃の板に描かれた油彩画と記録する。同館はこれをモローがサロンに出した最後の作品の一つとして説明する。巨人ポリュフェモスは同じ古代神話でも《オディッセイア》でオデュッセウスと対峙する姿がよく知られるが、ここではガラテイアを見つめる別の物語に属する。作品ごとに神話上の役割を混同せずに見たい。
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この画家について本で読む
ギュスターヴ・モロー 〈自作を語る画文集〉夢を集める人
ギュスターヴ・モロー 画・文/藤田尊潮 訳編 / 八坂書房
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