白い馬に乗る聖ゲオルギウスが、足元の竜へ槍を向ける。
何が描かれているか
白い馬に乗る聖ゲオルギウスが、足元の竜へ槍を向ける。遠くの岩の上には救われる王女の姿がある。竜退治はキリスト教聖人伝でよく描かれる題材だが、モローは一瞬の衝突だけを大きく描かない。馬、騎士、竜、王女を距離の異なる場所に置き、伝説の舞台全体を眺められるようにした。
作品の見どころ
騎士の槍と馬の首が斜めの線を作り、目を下の竜へ導く。竜は暗い地面に溶け込むようで、近くで見ると鱗や体の曲線が分かる。王女を探して奥へ視線を移すと、岩場と遠い建物が広がり、英雄の姿が孤立して見える。金色の装飾と険しい自然の取り合わせが、現実の風景とは異なる伝説の時間を生む。
制作背景
ロンドン・ナショナル・ギャラリーは1889~90年の油彩画と記録する。同館はモローがラファエロやカルパッチョの絵、ビザンティンのイコン、ペルシアの細密画などを参照したと説明する。異なる時代の表現を一つに組み合わせたため、特定の土地や時代の風景としては読めない。英雄伝を、装飾と色彩の豊かな像へ変えた作品である。
出典・画像について
画像:Gustave Moreau《聖ゲオルギウスと竜》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
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