左に立つヘラクレスが、右で鎌首をもたげる多頭の怪物ヒュドラと対峙する。
何が描かれているか
左に立つヘラクレスが、右で鎌首をもたげる多頭の怪物ヒュドラと対峙する。これは彼に課された難業のひとつで、怪物の頭を切っても再び生えるとされる。足元には倒れた人々が横たわり、対決の危険が示される。英雄はまだ攻撃の動作に入らず、巨大な相手を見極めるように立つ。勝敗の前の一瞬を引き延ばした場面だ。
作品の見どころ
ヘラクレスの明るい体は暗い岩場から浮き上がり、怪物の曲がる首と対照を作る。ヒュドラの頭を一つずつ数えようとすると、からみ合った形が視線を迷わせる。下の遺体、上の空、両者の間の空間も見てみたい。数多くの細部を描き込みながら、主役の二つのシルエットははっきり保たれ、迫る危険が読み取りやすい。
制作背景
シカゴ美術館の研究資料は1875~76年の制作とし、1876年のサロンへの出品を記録する。油彩による大きな神話画で、古典的な英雄譚を装飾的かつ不穏な世界へ移している。倒れた人々が誰であるかを細かく特定するより、怪物の脅威を画面に置く役割に注目したい。似た神話画でも、モローが選んだのは激闘そのものではない。
出典・画像について
画像:Gustave Moreau《ヘラクレスとレルネーのヒュドラ》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
Commonsはパブリックドメインと表示。複製写真の扱いには法域による留保がある。
間違いを見つけたら、教えてください →アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。
この画家について本で読む
ギュスターヴ・モロー 〈自作を語る画文集〉夢を集める人
ギュスターヴ・モロー 画・文/藤田尊潮 訳編 / 八坂書房
モロー自身の言葉と作品を収めた画文集。神話や聖書の題材に向き合った画家の考えを読む手がかり。
楽天ブックスで見る →