神ユピテルが玉座に座り、セメレの姿がその近くにある。
何が描かれているか
神ユピテルが玉座に座り、セメレの姿がその近くにある。周囲には人間や神、空想的な存在が幾重にも集まり、ふたりの物語が巨大な宇宙のような場面へ広がる。ギリシャ神話では、セメレが神の真の姿を見たことで命を落とす。モローはその出来事を二人だけの劇にせず、さまざまな姿を含む壮大な幻視として表した。
作品の見どころ
中央の明るい二人から下へ目を移すと、細かな顔、翼、花、装飾が次々に現れる。左右の形は対称に近いが、同じものを機械的に繰り返してはいない。大画面を離れて見ると、光る中心と暗い周辺の差が強く感じられる。近づくと一つずつの姿に目が止まり、また全体へ戻りたくなる。細部と全体を行き来する見方が合う絵だ。
制作背景
モロー美術館は1889年に制作を依頼され、1895年に届けられたと記録する。晩年を代表する油彩の大作だが、細かな登場人物すべてをこの短い解説で断定することは避けたい。同館の説明でも神話の出来事と、画家が重ねた複雑な象徴世界が区別される。まず中心の物語を知り、次に画面の周辺へ視線を広げると、モローの構想の大きさが伝わる。
出典・画像について
画像:Gustave Moreau《ユピテルとセメレ》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
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