孔雀の美しい羽と女神の白い衣が、小さな寓話を幻想的な場面に変える。
何が描かれているか
羽を広げた孔雀のそばに、白い衣をまとう女神ユノーがいる。題材はラ・フォンテーヌの寓話で、美しい羽を持つ孔雀が、ナイチンゲールのように歌えないと訴える話である。女神は、鳥にはそれぞれ違う長所があると答える。絵では言葉の応酬を文字で示さず、鳥と女神を同じ空間へ置いている。
作品の見どころ
孔雀の羽に並ぶ細かな模様と、女神の衣が流れる大きな曲線を見比べたい。青や緑が重なる羽のそばで、白い布が明るく浮かび、視線を女神へ導く。背後の細かな装飾や頭上の星にも目を移すと、短い教訓の物語が華やかな世界へ広がって見える。小さな紙の作品なので、拡大して線と色の重なりを追うと分かりやすい。
制作背景
モローは収集家アントニー・ルーの依頼で、1879〜1884年にラ・フォンテーヌの寓話を水彩にした。本作はその一例で、美術館の展覧会資料は1882年とする。1936年に同館へ寄贈された。神話を描く大きな油彩と並べて見ると、文学を手がかりに紙の上で色彩と装飾を組み合わせる仕事も確かめられる。
作品情報
所蔵
ギュスターヴ・モロー美術館、パリ(Cat.566 bis)
目録上の別題
ラ・フォンテーヌ寓話のための習作
出典・画像について
画像:Gustave Moreau《ユノーに不平を言う孔雀》/Gustave Moreau / Wikimedia Commons — Public Domain Mark 1.0 (PD-Art)
CommonsのPublic Domain表示に基づく忠実複製です。複製画像の扱いには国・地域差があります。
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