果実を摘む少女と籠を差し出す少女を、大きな縦長の画面に組み合わせた。1891年に着手し、習作を重ねて完成した晩年の大作。
何が描かれているか
梯子の上の少女が枝へ手を伸ばし、下の少女が籠を高く差し出す。果実の赤い点が葉の緑に散り、二人の淡い服が画面を縦につなぐ。
梯子の斜めの脚を追うと、下の籠から上の手へ自然に目が上がる。木の幹と葉は画面の端まで続き、庭の広さより二人の動作を近くで見せる構図である。
作品の見どころ
ぱっと見には一瞬の果実摘みに見えるが、マルモッタン・モネ美術館の記録は、複数の素描と小さな油彩習作を重ねた制作過程を伝える。
二人の腕、籠の持ち手、梯子の線が異なる向きに交差する。その周りを青緑と桃色の長い筆の跡が包み、輪郭を固めすぎずに身体の動きを保つ。右端の木も作品に含まれ、外側の壁や額とは分けて見る。
制作背景
所蔵番号6020のマルモッタン版を紹介する。同館によれば1891年にメジーで着手し、パリで約2年後に完成した。最初は娘ジュリーと姪ジャンニーにポーズを取らせ、後には職業モデルも使ったという。
《桜の木》には複数の大作版や習作がある。ここでの画像と寸法は縦154センチの同館版に合わせ、別の大作や素描を同じ一枚として扱わない。初公開はモリゾの死後、1896年の回顧展だったと同館は記録する。
出典・画像について
画像:Berthe Morisot《桜の木》/Jean-Pierre Dalbéra, “Le Cerisier” de Berthe Morisot — CC BY 2.0
写真: Jean-Pierre Dalbéra。全景を等比縮小。
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