桃色の服を着た少女を、和紙の地色を残した水彩で描く。輪郭や背景を描き切らない晩年の紙上作品。
何が描かれているか
少女が椅子に座り、顔を少し下へ向ける。桃色の服と黒っぽい髪が、薄茶色の紙の上に淡く浮かび上がる。背景には家具や部屋の説明がほとんどない。
腕と衣服の境は線が途切れ、下半分には紙地が広く残る。人物が途中で切れた写真のように見える部分もあるが、紙の余白ごと画面を見せる水彩作品である。
作品の見どころ
顔には少ない線と色しか置かれず、目元や口元の位置を探すと表情が見えてくる。襟元の桃色は水で薄めて広げられ、肩の周りには灰色や赤のにじみが重なる。
初期の《ベンチに座る姉エドマ》では黒い衣服をはっきりした塊にした。こちらは人物の外形さえ紙に溶けるようで、同じ水彩でも描き方の違いが分かる。紙地は作品の一部なので、表示時に透過したり削ったりしない。
制作背景
所蔵館は1894年、和紙に鉛筆の痕跡を残した水彩と記録する。目録番号1970.17.161、Bataille/Wildensteinの844番である。
制作年からモリゾの晩年の一枚と分かるが、所蔵館の個別記録は少女の名前を示していない。既存の娘ジュリーの肖像と同一人物だと決めず、淡い色と紙の使い方に注目する。
作品情報
作品目録
Bataille/Wildenstein 844
出典・画像について
画像:Berthe Morisot《座る少女》/Courtesy National Gallery of Art, Washington — CC0 1.0
Open Access/CC0。全景を等比縮小しました。
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