何が描かれているか
髪を上げたモリゾが、顔をわずかに傾けてこちらを見る。顔と肩を中心に描き、手や絵筆は画面に入っていない。
灰色の紙を背景に残しながら、肌の明るい部分や髪の暗さを描き分けている。肩から下を大きく省き、顔、髪、首元へ視線を集める構図である。灰色の紙が塗り残しのように見える部分も、肌や衣服の淡い色を支える画面の一部になる。
作品の見どころ
パステルは、色の粉を棒状に固めた画材。線を引くだけでなく、こすって柔らかな色の広がりを作ることもできる。
髪や目元の線と、頬のぼかしを見比べたい。くっきりした線と淡い色が隣り合い、短い描写でも表情が伝わってくる。目や眉、髪には鋭い線を残し、頬や額ではパステルをこすって色をぼかす。線と面の違いを近くで見ると、限られた範囲で顔の立体感を作る方法が分かる。
制作背景
シカゴ美術館は1885年頃の作品とし、画材を「灰色の紙にパステル、ぼかしを併用」と記録している。
同じ頃に描かれたマルモッタン・モネ美術館の油彩の《自画像》とは別作品。ここではシカゴ美術館所蔵のパステル画を紹介している。油彩の別作品と取り違えると、画材だけでなく画面に描かれた物まで誤ってしまう。ここでは目録番号1965.685Rのパステル画として、作品ごとの区別を保つ。
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