1899年(本の刊行)
39歳頃

主の祈り――誘惑からの救い

画家 アルフォンス・ミュシャ →
Le Pater: Seventh Allegorical Page / 挿絵本《主の祈り》
明るい二つの姿を、暗い怪物のような形が囲む。表紙の内側に広がる、ミュシャの祈りの世界を見てみよう。

何が描かれているか

目を閉じて顔を上げた人物の後ろに、明るい衣をかぶった人物が立つ。両手は前の人物の頭のそばに添えられている。周囲には大きな目や牙を持つ、怪物のような形が重なっている。
「誘惑に陥らせず、悪から救ってください」という祈りに対応する第7の寓意画だ。寓意画とは、姿で考えや意味を表す絵のこと。フィリップス・コレクションは、中央の少女を人類の象徴と説明している。

作品の見どころ

明るい衣は、顔の周りから画面の下まで大きく曲がりながら続く。暗い形の中でこの流れを追うと、囲まれた人物を守るようにも見える。怪物の名前や意味を一つずつ決めず、明暗の関係を見てみよう。
広告の《ジスモンダ》にも長い衣の曲線があるが、ここでは白黒の濃淡が中心となる。華やかな表紙と比べると、本の内側には不安や救いを考える場面も用意されていたことが分かる。

制作背景

《主の祈り》は1899年12月20日にパリで刊行された挿さ絵本だ。七つの祈りの句それぞれに、祈りの本文、ミュシャの解釈文、寓意画の三つの頁を組み合わせている。
寓意画の頁は、写真製版でインクを紙に刷るフォトグラヴュールで印刷された。掲載画像は印刷図版の写真だ。原画を直接描いた紙とは区別して見よう。

作品情報

材質・技法
フォトグラヴュール(挿絵本の図版)
図の位置
第7の寓意画
掲載画像
挿絵図版の写真(版・所蔵先は未特定)

出典・画像について

画像:Alphonse Mucha《主の祈り――誘惑からの救い》/Alphonse Mucha / photo: SiefkinDR; clearer version: Hohum / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0
画像の出典 / CC BY-SA 4.0(画像情報:2026-10-03 確認)
挿絵図版の写真です(刷りの版・所蔵先は未特定)。SiefkinDR撮影、Hohumによる既存のClearer version。全提供範囲を再圧縮し、この掲載画像もCC BY-SA 4.0で提供しています。
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