暗い室内にひざまずく聖人の上へ、光と天使が開けています。大きく伸ばした両腕が、遠い天と地をつなぐように見えます。
何が描かれているか
聖アントニウスがひざまずき、幼いイエスの現れる幻を見ています。下の部屋は静かな薄暗さに包まれ、上では天使たちが明るい空間へ集まっています。聖人の顔と両腕が、その上下を結んでいます。
作品の見どころ
大きな絵の上半分を照らす光と、下の机や床に残る暗さを見比べてみてください。すべてが同じように明るいのでなく、日常の部屋の中へ別の世界が開くようです。身近な人を描く時の柔らかさが、大きな祭壇画の驚きにも使われています。
制作背景
1656年にセビーリャ大聖堂が発注し、洗礼礼拝堂の祭壇に置かれた作品です。1874年には聖人の部分が切り取られて盗まれ、のちに回収されて絵へ戻されました。今見える一枚は、その損傷と修復の歴史もくぐり抜けています。
出典・画像について
画像:Bartolomé Esteban Murillo《聖アントニウスの幻視》/聖アントニウスの幻視 — Bartolomé Esteban Murillo; Autor de la fotografía: José Becerra Gómez / Wikimedia Commons / CC0 1.0
採用した配布画像を比例縮小して使用。拡大や色補正はしていません。現地の祭壇全体を写した画像です。上部には別作品《キリストの洗礼》も写っています。
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