何が描かれているか
木々に囲まれた水辺に裸の女性たちがいる。手前では二人が腕を上げ、身体と腕の形が互いに重なる。左の奥にも人物が見え、頭上には濃い葉の茂みが覆いかぶさる。
題名は『四人の水浴する女性』。身体が重なるため、人数をすぐに数えるより、頭と腕のつながりをゆっくり追いたい。背景の明るい隙間と手前の暗い水面が、人々を囲む空間を作る。
作品の見どころ
肩から背中へ続く曲線と、枝葉を描く短く交差した線が対照をなす。水面には横向きの線が重なり、人物の下半身との境目を曖昧にする。同じ黒い線でも、方向が変わると質感が変わる。
技法はエッチングとドライポイントの併用。後者は金属へ針で直接傷を付ける方法で、溝の脇にできる細かなまくれもインクを含む。輪郭の柔らかな黒と、密集した背景の線を比べてみたい。
制作背景
原版の制作年は1895年。メトロポリタン美術館は、掲載品を全2状態のうち第2状態、そして没後の刷りと記録する。生前に完成した図柄から、後になって紙へ刷られた所蔵品である。
第2状態は2枚目の印刷という意味ではない。版が修正された段階を表す言葉である。具体的な刷り年は確認できないため、画家の年齢は原版を制作した1895年を基準に示している。