ポントワーズのオワーズ川沿いの工場
画家 カミーユ・ピサロ →Factory on the Oise at Pontoise / ワシントン・ナショナル・ギャラリー
川沿いの工場と煙を水彩で捉えた小さな風景。農村だけではないピサロの主題と、紙を生かす描き方が見える。
何が描かれているか
オワーズ川の対岸に工場の建物と煙突が並び、灰色の煙が空へ横に広がっている。赤茶色の屋根や高い煙突の前には、岸辺と小舟が見える。手前の葉の少ない木は枝を広げ、その向こうを水面が通る。畑や家だけでなく、煙を出す工場もピサロの身近な風景に含まれていた。建物と川の位置関係を簡潔な形で捉えた一枚である。
作品の見どころ
水彩ならではの薄い色の重なりと、色を置かずに残した紙の明るさに注目したい。煙や水面は、形を細かく描き込まず、灰色や青の広がりで表される。屋根の赤と建物の青灰色は互いを引き立て、黒っぽい枝が手前を示す。油彩の《白い霜》と比べると、同じ1873年でも絵具の厚みや筆の跡、地の明るさを使う方法が大きく異なる。
制作背景
所蔵館は技法を紙に水彩と黒鉛、制作年を1873年と記録している。右下にはポントワーズを示す書き込みがあり、作品は別の紙に貼られている。油彩の準備のための下絵だったかどうかは、この記録だけでは判断できない。小さな紙の作品も見ることで、ピサロが景色を捉える手段を、厚く塗った油彩だけに限らず理解できる。
出典・画像について
画像:カミーユ・ピサロ《ポントワーズのオワーズ川沿いの工場》/Courtesy National Gallery of Art, Washington, Collection of Mr. and Mrs. Paul Mellon
所蔵館がCC0で提供する全景画像です。 淡い地色は作品の紙であり、保持しています。
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