エルミタージュ、ポントワーズの林の風景
画家 カミーユ・ピサロ →Paysage sous bois, à l’Hermitage, Pontoise / ワシントン・ナショナル・ギャラリー
粗い粒と柔らかな線を重ね、林の陰から家々へ抜ける光を描く。
何が描かれているか
太さの違う幹が横長の画面を縦に区切り、枝の隙間から家の屋根や壁が見える。左下にはこちらに背を向けた人物が小さく座り、奥の建物との距離を測る目印になる。
木立は均等に並ばず、斜めに走る枝と地面の濃淡が視線をあちこちへ誘う。家並みは背景へ押し込められ、手前の林を透かして町をのぞくような構図になっている。
作品の見どころ
幹の黒い線の周囲には、砂を散らしたような細かな粒が広がる。輪郭だけを追うと見落としやすいが、この柔らかな灰色が枝葉や地面をつなぎ、日陰の空気を感じさせる。
アクアチントは細かな粒の間を酸で腐食させ、インクを含む灰色の面を作る技法。ここではソフトグラウンドとドライポイントも併用し、線と面の両方で林の光を探っている。
制作背景
1879年の版画。クリーヴランド美術館は同じ図柄を、ドガと構想した未刊行の版画雑誌『昼と夜』に向けた作品と説明する。絵画と並行して版画を試していた時期に当たる。
掲載は和紙に刷られたワシントンの所蔵品。同館の目録では第5状態とされる。状態は版に手を加えた段階を指し、紙を刷った順番ではない。図柄の年からこの紙の刷り年は決められない。
作品情報
技法・支持体
アクアチント、ソフトグラウンド、ドライポイント/和紙
版の状態
Delteil no.16、v/v(所蔵館の表記)
出典・画像について
画像:Camille Pissarro《エルミタージュ、ポントワーズの林の風景》/Courtesy National Gallery of Art, Washington
所蔵館公開画像。提供画像の四辺と余白を保って縮小。
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