ダリッジのロードシップ・レーン駅
画家 カミーユ・ピサロ →Lordship Lane Station, Dulwich / コートールド・ギャラリー
草地と家並みの間を汽車が進む、ロンドン滞在中の風景。新しい鉄道を郊外の日常の中へ置いている。
何が描かれているか
南ロンドンの駅を出た汽車が、二本の線路の一方をこちらへ進んでくる。左には家々と木が集まり、右には広い緑の斜面が残る。遠くの家並みや信号も見えるが、通行人の姿はない。コートールドの解説によると、ピサロは線路をまたぐ歩道橋からこの景色を描いた。高い位置から、駅と周囲の土地を一緒に見渡している。
作品の見どころ
手前から奥へ細くなる線路が、画面に深い奥行きを作る。その左右にある草地や建物を見比べると、鉄道が郊外を横切る様子が分かる。汽車の煙は空の灰白色と近く、機関車の黒さだけが小さく目を引く。乗り物を大きく強調する構図ではなく、草地、住宅、交通が並ぶ風景として読むと、静かな画面の中にも町の変化が見えてくる。
制作背景
普仏戦争が始まった1870年、ピサロは家族とパリを離れ、ロンドンで制作した。この作品は1871年のもので、同じ滞在中の《クリスタル・パレス》と比べられる。右の斜面には当初男性が描かれていたが、後から塗り消された。建物が増えつつある郊外を描きながら、人影を取り除いたという制作過程も、所蔵館の調査で確認されている。
出典・画像について
画像:カミーユ・ピサロ《ダリッジのロードシップ・レーン駅》/カミーユ・ピサロ / Courtauld Gallery, London (Samuel Courtauld Trust) / Wikimedia Commons
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