1871年
40〜41歳頃

ダリッジのロードシップ・レーン駅

画家 カミーユ・ピサロ →
Lordship Lane Station, Dulwich / コートールド・ギャラリー
草地と家並みの間を汽車が進む、ロンドン滞在中の風景。新しい鉄道を郊外の日常の中へ置いている。

何が描かれているか

南ロンドンの駅を出た汽車が、二本の線路の一方をこちらへ進んでくる。左には家々と木が集まり、右には広い緑の斜面が残る。遠くの家並みや信号も見えるが、通行人の姿はない。コートールドの解説によると、ピサロは線路をまたぐ歩道橋からこの景色を描いた。高い位置から、駅と周囲の土地を一緒に見渡している。

作品の見どころ

手前から奥へ細くなる線路が、画面に深い奥行きを作る。その左右にある草地や建物を見比べると、鉄道が郊外を横切る様子が分かる。汽車の煙は空の灰白色と近く、機関車の黒さだけが小さく目を引く。乗り物を大きく強調する構図こうずではなく、草地、住宅、交通が並ぶ風景として読むと、静かな画面の中にも町の変化が見えてくる。

制作背景

普仏戦争が始まった1870年、ピサロは家族とパリを離れ、ロンドンで制作した。この作品は1871年のもので、同じ滞在中の《クリスタル・パレス》と比べられる。右の斜面には当初男性が描かれていたが、後から塗り消された。建物が増えつつある郊外を描きながら、人影を取り除いたという制作過程も、所蔵館の調査で確認されている。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
コートールド・ギャラリー
目録番号
P.1948.SC.317

出典・画像について

画像:カミーユ・ピサロ《ダリッジのロードシップ・レーン駅》/カミーユ・ピサロ / Courtauld Gallery, London (Samuel Courtauld Trust) / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain(PD-Art) / 画像の出典・条件(画像情報:2026-09-28 確認)
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