何が描かれているか
ポントワーズの市場に人々が集まり、籠に入れた野菜が地面近くへ並ぶ。右手前では、こちらに背を向けた女性が片腕に籠を掛けている。左には椅子と座った人物の後ろ姿が見える。
手前の大きな身体の間から、奥へ続く通り道がのぞく。その先にも帽子をかぶった人や籠が並び、近くの売り場と遠くの群衆が一枚の縦長の画面に押し込まれている。
作品の見どころ
丸い籠、壺、野菜の輪郭と、女性の腕や背中の曲線が繰り返される。形を一つずつ探すと雑然とした市場にもまとまりが見つかり、手前と奥の大きさの差から人混みの深さが分かる。
衣服では交差する線が濃い影を作る一方、通路には細かな粒と長い影が残る。亜鉛版のエッチングとアクアチントを併用し、人物の輪郭と地面の明るさを異なる調子で表している。
制作背景
図柄の制作年は1891年。ただし掲載した所蔵品を、ワシントンの目録は没後に刷られたものと明記する。画家が市場の図柄を作った時期と、この紙へインクを移した時期は区別が必要である。
目録の第2状態は、修正を重ねた版の段階を示す。余白の番号は刷りの順序や年代を確定する根拠として使わない。農村の畑と並べて見ると、町でも暮らしを支える仕事が主題になっている。