アシュドドの町で病に倒れた人々と、壊れたダゴン像を描く。
何が描かれているか
旧約聖書では、ペリシテ人が契約の箱を奪い、神ダゴンの神殿へ置いた。翌日にはダゴン像が倒れ、やがて町に病が広がる。絵の奥には壊れた像、手前には倒れた人々と子どもが描かれる。鼻を押さえる人の仕草は、目では見えない悪臭まで伝える。題名は「ペスト」だが、ルーヴル美術館は病名の解釈に注意を促している。
作品の見どころ
画面を手前から奥へたどると、死者に気づく人々、逃げたり立ち止まったりする群衆、神殿の像が次々と見えてくる。建物の壁や道が奥行きを作り、一つの町全体に災厄が及んだと感じられる。倒れた像の頭と手は小さいが、物語の原因を示す手掛かりである。登場人物だけでなく、建築も出来事を読む順番を助けている。
制作背景
ルーヴル美術館は1630~1631年の作と記録する。1631年にプッサンがこの絵について証言した裁判記録があり、作品の制作や売却をたどる珍しい資料となる。同館の解説は、絵の主題を聖書の「サムエル記上」第五章に結びつけている。病の場面を描きながら、単なる恐怖の表現にとどまらず、細部で物語の前後を伝える作品である。
出典・画像について
画像:Nicolas Poussin《アシュドドのペスト》/Shonagon / Wikimedia Commons / Public Domain Mark
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