黒い服の女性が高い場所に立ち、空へ上がる気球に向かって手を伸ばす。
何が描かれているか
黒い服の女性が高い場所に立ち、空へ上がる気球に向かって手を伸ばす。足元の街は暗く、夕空の明るさが小さな気球を浮かび上がらせる。これはただの乗り物の絵ではない。1870年、普仏戦争で包囲されたパリから、外へ知らせを運ぶ気球を題材にしている。女性は都市を人の姿に置き換えた存在として読むことができ、遠くへ向けた身ぶりに切迫した希望が込められる。
作品の見どころ
縦長の画面では、女性の黒いシルエットが下から上へ伸びる。そこから目を空の小さな気球へ移すと、距離の大きさが実感できる。右手に持つ銃と、左手の呼びかけるような動きも対照的だ。画面下の建物を細かく見れば、彼女が一人の室内にいるのではなく、街全体を背に立っていることが分かる。色数を抑えた構成が、空と地上の隔たりを強めている。
制作背景
オルセー美術館は1870年の油彩画と記録する。同館によると、画家はパリ包囲のさなかに着想し、続いて対となる《伝書鳩》を描いた。ここで使う画像はCommonsで撮影者RamaがCC BY-SA 2.0 Franceとして公開した、オルセー所蔵作の写真である。二枚を並べると、知らせを送る場面と受け取る場面の違いが見えてくる。
出典・画像について
画像:Pierre Puvis de Chavannes《気球》/Rama / Wikimedia Commons / CC BY-SA 2.0 France
撮影者Rama。表示用に縮小・JPEG化。加工画像もCC BY-SA 2.0 Franceの条件で提供します。
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