何が描かれているか
静かな水辺の森に、白い衣を着た女性たちが集まる。中央の三人は建築・絵画・彫刻を表し、その周りには古代ギリシアの芸術を司る九人のミューズがいる。遠くに神殿が見え、現実の一つの場所というより、芸術が集まる理想の風景として作られている。シカゴ美術館のこの作品は、リヨン美術館の階段を飾る壁画の縮小版であり、壁画の写真ではない。
作品の見どころ
薄い緑と青、白い衣の色を追うと、たくさんの人物がいても画面は騒がしくない。奥の神殿から手前の水面まで、風景の層はあるが、強い陰影で距離を押し出さない。女性たちは小さな身ぶりで結ばれ、どこかで物語が終わるような場面でもない。水辺の落ち着いた色と、人物の間隔が、公共の建物に置かれる絵にふさわしい穏やかな広がりを作る。
制作背景
シカゴ美術館は制作年を1884~1889年とし、1884年のサロンで展示された縮小版だと説明する。色を抑えた平らな画面は、古代ローマの壁画を思わせるとも記す。完成壁画と縮小版には場所と大きさの違いがあるため、所蔵先を混同しないようにした。三人の芸術の寓意と九人のミューズという基本の読みを押さえれば、全員の名前を覚えなくても画面を楽しめる。