直径94.5センチの円の中で、三人の頭、腕、脚、視線が途切れずにつながる。円形画は、四角い絵とは違い、角を使って人物を支えることができない。この作品では、身体の曲線と手の動きが円に沿って続く。画面の縁から内側へ、丸く視線を動かしてみたい。
何が描かれているか
地面に座るマリアのそばで、幼い洗礼者ヨハネが葦の十字架を差し出し、キリストが受け取る。所蔵館は、将来の磔刑を受け入れる意味と説明する。
三人の手と視線は十字架の周りへ集まる。穏やかな戸外の母子像に、これから起きる苦しみを示す小さな印が置かれている。
作品の見どころ
マリアは王座ではなく地面に座る「謙譲の聖母」である。高い地位を誇示せず、幼児たちと同じ低い場所を共有している。
円形の中で、足から衣、腕から頭へ曲線が続く。角のない画面と身体の流れが、三人を一つのまとまりとして見せる。円の外形は飾りではなく、人物の姿勢と見る人の目の動きを内側へ戻す、構成そのものの条件になっている。
制作背景
制作は1510年頃。もとは板に描かれたが、現在はカンヴァスへ移されており、絵を支える材料は制作当初のままではない。描かれた図像が同じでも、作品という物の歴史には大きな変更が含まれている。
縦長の《ヒワの聖母》《美しき女庭師》と比べると、同じ三人でも円形に合わせて身体の配置と視線の動きが変わる。
出典・画像について
画像:ラファエロ《アルバの聖母》/Raphael, The Alba Madonna, National Gallery of Art, Washington, Andrew W. Mellon Collection, 1937.1.24. CC0.
National Gallery of ArtのOpen Access画像を縮小し、円形作品の外側だけを透明化して表示しています。
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