灰色の服の中から、顔と重ねた手が静かに浮かびます。
何が描かれているか
黒い帽子をかぶり、灰色の毛皮をまとった男性が、こちらを見ています。胸元の白い布、顔、画面の下で重ねられた手が、暗い服の中から浮かびます。作家で外交官のカスティリオーネです。
背景には部屋や仕事の道具が描かれず、薄い褐色の面が広がります。人物の肩の周りには余裕があり、帽子から両腕へ下がる大きな形が、落ち着いて座る身体を支えています。
作品の見どころ
色数が少ないので、灰色の毛皮と黒い袖、白い布の質感の違いがよく見えます。毛皮の柔らかな縁と、額や頬のなめらかな明暗を比べると、目立つ装飾がなくても人物の姿が豊かだと分かります。
身体は少し斜めに向いていますが、目は見る人と向き合っています。ひげや帽子の輪郭をたどってから目元に戻ると、言葉を交わす前の静かな間を感じられます。
制作背景
ルーヴル美術館の目録は制作を1514〜1515年頃としています。ラファエロの肖像表現を知る一枚です。画面の中心となる顔と手に、少ない明るい色が集められています。
大きな身振りを描いた《ビンド・アルトヴィーティの肖像》と並べると、人物への近づき方が違います。こちらでは、視線をまっすぐ受け止めることと、整った姿勢が、対話するような距離を作っています。
掲載画像について
C2RMFの撮影をもとにCommonsでretouched版として配布されている画像の、全図の等比縮小です。このサイトでの追加の切抜きや色補正は行っていません。
作品情報
位置づけ
落ち着いた正面の視線と、少ない色で描く人物の存在感。
出典・画像について
画像:Raphael《バルダッサーレ・カスティリオーネの肖像》/バルダッサーレ・カスティリオーネの肖像 — Raphael / Wikimedia Commons
Commonsの個別Public Domain表示の忠実複製。複製の扱いは国・地域で異なります。
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