縦は23センチに満たない。フェルメールの絵の中でいちばん小さい部類で、いつも使っていた布ではなく、板に描かれている。娘は椅子の上で体をひねり、まっすぐこちらを見ている。館は、このくだけた感じと、その場かぎりの気配を、彼の作としては珍しいものだと書いている。手のひらに載るほどの板の上で起きている出来事である。
何が描かれているか
若い娘が椅子の上で体をひねり、肩ごしにこちらを見ている。口はわずかに開いていて、何か言いかけたようにも見える。
かぶっているのは、大きく張り出した緋色の帽子。羽根が重なり、縁が目のあたりに影を落としている。上着は青く、白い光が筋になって置かれている。首もとに白い襟、耳に真珠。
作品の見どころ
館によれば、この絵はフェルメールの作としては最も小さい部類に入る。しかも支えは板で、彼がふだん使っていた布ではない。大きさも材料も、いつもの仕事とは違っている。
館は、娘がまっすぐこちらを見ることで、見ている側とのやりとりが生まれる、と書いている。かしこまった肖像ではなく、ふいに振り向いたところである。館はそれを、彼の作としては珍しい気安さだと見ている。
制作背景
1696年5月16日の競売に、この絵が出ていた見込みが高い。館は目録の39番か40番だろうとしている。38番は、古風な衣裳の頭部画でたぐいまれに巧み、と書かれ、39番はそれと同じ作者のもう一点、40番はその対になる一点、とだけ記されている。
19世紀にはパリのラフォンテーヌの手にあり、1822年12月の競売に出た。そのあとコルマールのアタラン男爵が持ち、子孫へ伝わっていく。